若手の歯科院長に告ぐ

開業する上で最も大切な事は何か?

【自分の人生を歩く事だ】

それが本当の幸福につながる

過去の私を含め勘違いしてるDrは多いが、                               幸福とは「何か」をしたら得れるものではない。

年商1億を超えたら…

自分の時間がふえたら…

DHが増えたら…

メンテナンスで軌道にのったら…

その先に楽園があるように思えるが                                        それは違う。

今回は5年間悩んだことについて説明しよう

今も悩みが尽きないが、悩みと向かい合う姿勢が変わった。

そもそも幸福といっても一つではない。

歯科医師の幸福、家族の幸福、                                                一人の人間の幸福など様々な視点から見る事で姿がかわる。

歯科医師の幸福を追求すれば、帰宅が遅くなり休日は学会で家を留守にするようになるし、                         そうなると家族や自分の時間はなくなってしまう。

仕事で成功しお金が手に入れば家族も幸せだと考える院長もいるが、                                  仕事での成功は男性的な視点であり、                                               妻はそんなことより家族の時間をつくってほしいと感じている場合が多い。

つまりこれらは必ずしも交わるわけではない。

歯科でいうなら“Keyes3つの輪”のような関係だ

なにかを優先すれば何かの幸福がかける。

全てを完璧に交わらす事はできない。

3つが重なった部分は”不健康”になる

何かを得るために何かをあきらめる事が大切なのだ。

自分の人生を歩き幸福になるのに重要な事は

「自分で決める事」

「人と比較しない事」

「周りの目を気にしない事」

この3つを意識し、                                                    自分でコントロールしているという事だ。

この考えに至った理由について実体験をもとに説明していこう。

目次

実家を継いでからの思考

このサイトでは書いているが、継承医院は年商1億ほどの歯科医院だった。

「年商1億の歯科医院を継げるなんて羨ましい」ともいわれるが、                                     実際はそんなに良いものではない。                                                      親子関係や既存のスタッフ・チーフスタッフなど新規開業より何倍も複雑になるためかなり苦悩した。

継承で苦悩した事を話すオールデンタルがあれば絶対に参加したい。

優勝は無理かもしれないが4回戦くらいまではいけそうだ。

相手に「派手さはないけど結構強い」と言ってもらえそうだ

継承医院の治療はそのほとんどは保険治療がメインだったため、かなりドタバタした環境だった。

その後色々な改革をし、スタッフ約30人、                                               年商2億以上(7割がメンテ)の歯科医院をつくったのだが、2020年過労により1か月間休職をせざるを得ない状況になってしまった。

休職する前までは、数字や売り上げにこだわっていたと思う。

いかに効率よく売り上げをあげるかを考え、                                           キャンセル率や治療待ちリストをつくり、                                               当日予約があいた場合は、すぐに患者に電話をして1秒も無駄にしないよう仕事をしていた。

プライベートでも常に仕事を考え、                                                休日に何個も仕事のアポイントをいれ、                                                   スキがあれば仕事に取り組む状況だった。

しかしタイムマネジメントをすればすれほど、仕事の量は増えていく。

仕事を効率よくこなせば、時間にゆとりができると考えていたが、大間違いだった。

効率よくこなしてできた隙間時間にもどんどんと仕事が入り込んできてしまったのだ。

【ライン・電話・ルンバ・zoom・スマホ】                                               世の中はどんどん便利になり、                                                  時短できているはずなのに現代人は忙しい理由が理解できた。

凡人が時間をマネジメントするなどおこがましいのだ。

休職中に色々と考えたが、                                                      売り上げを目指した先にはなにもなかった。

お金を稼ぐことはとても大切だと思うが、                                             稼いだお金をどう使うかが重要でありいくら稼ぐかはあまり重要ではないと思う。

お金を稼ぐことを目的にした先には不幸しかまっていない

最近思うことはお金は稼ぐよりも使う事が難しいということである。

お金は道具であり目的ではない

3つの幸福

歯科医師には大きく分けて3つの幸福がある。

歯科医師の幸福、家族の幸福、一人の人間の幸福

これらをかみ砕いて説明していく

①歯科医師の幸福

歯科医師になるとモチベーションのステージがいくつか分かれる。                                  99%の歯科医師がこの段階を踏んでいくように思う。

ステージごとに歯科医師としての幸福は姿を変える

・ステージ①

 年齢:研修医~20代後半

 幸福:純粋な治療技術の向上

 「もう抜髄をやった」

 「インプラント埋入した」

 友人同士でよくはなした。

 これはまず最初のステージでいかにやった                                            ことのある治療を増やすかがモチベーションだ

・ステージ②

 年齢:20代後半~30代前半

 幸福:年収

 これは勤務医としてお金をいくらもらっているかという事だ。

 まだ独身でこの段階で年収1000万をもらいレクサスやBMWなどを乗っている

 周りより高い年収でいい車にのると自分が                                          凄い人間とかんじる(勘違いなのだが)

 結婚や出産でお金が莫大にかかる時期。

 保険でいい治療をしたいなどと言っていた勘違いDrが過去の発言に恥ずかしさを覚える時期。

・ステージ③

 年齢:30代前半~30代後半

 幸福:開業や継承

 実家継承や新規開業などあるが、                                                 ここでは開業でいかに売り上げが高い歯科医院を                                         つくるかがモチベーションになる。

 ステージ①からなぞの意識高い系歯科医が発生してくるが、ステージ③がもっとも発生しやすい。

 ハイタッチや円陣・ありがとうカード・TikTokで謎のダンスなんかをやりだす。

 えお前どーした?と思う事がめちゃくちゃ増える。

 これは仕方ない部分もあり、その正体は“不安”である。

 やはり1億以上の借金(建築費高騰で今は2億以上だが)を背負うと不安なのだ。

 人が死ぬ前に不安から神に祈りをささげるのと同じで、不安からハイタッチや円陣をしてしまう。

 とびぬけた結果(年商2億以上)を出さないと黒歴史になる可能性があるので気をつけろ。

・ステージ④

 年齢:30代後半~40代前半

 幸福:新患数・年商・年収

 ほとんどの歯科医院はDr1人・DH3人・DA3人 年商6000万くらい

 歯学部が1学年120人だとすると

 年商2億以上:約4人

 年商1億~2億:約10人

 このあたりがいわゆる勝ち組と言われ、ここを目指す。

 いままで治療をしっかりするべきだと言っていたDrが売り上げをきにして保険でまわすことをするようになる。

 開業したときに導入したマイクロが埃をかぶり、ハイタッチ・ありがとうカード・TikTokの謎ダンスがなくなる時期だ。

開業というプレッシャーからハイになってしまい始めたハイタッチなどの謎の行動は、本当に自分にあっていないと継続しないのだ。

 私と同世代の院長がこのステージにきている。

 勤務医の時に散々医院の批判をして「俺はあんな院長にはならない」「俺はもっとできる」と言っていた人達が、代診を雇うまで医院を成長させる事すらできずに、「あんな院長」の足元にも及ばない状況になっている。

・ステージ⑤

 年齢:30代後半~

 幸福:様々(規模拡大・分院・家族・プライベート・趣味)

 それぞれが考える安定期

 当院はこのステージだ

 スタッフ問題は相変わらず存在するが、集患をしなくても医院がまわる。

 さらにチェアーを増やしたり、分院展開をしていくか、仕事はほどほどにしてプライベートを充実させるかわかれる。

この段階でいろいろと迷いがでてくる。

①~④までのステージはランナーズハイだ。

売り上げをあげたり、いい症例をつくる事がアイデンティティでありそれが人生のすべてのように全力で走り、それがかっこいいと思っている。

しかし、ステージ⑤になったときに、失ったものに気が付く。

それは家族との時間・健康・友人との時間・思い出かもしれない。

私もステージ④までは仕事・プライベート・家族すべてをやろうと思っていた。

しかし、無理だった。全部を手に入れることは人間にはできない。

セミナーや学会で有名な先生や、チェアーが何十台ある先生、分院を何個ももっている先生は、絶対に何かを犠牲にしている。

人生は等価交換なのだ。芸能人が華やかな生活を手に入れるためにプライバシーがなくなるのと同じで、何かを手に入れるためには何かを失わなければならない。

②家族の幸福

ここはとても大切だ。

結婚・出産を経験し、家族になりいい事も悪い事も経験する。

そうする事で幸せになる。大切なのはいい事ばかりでは幸福になれないという事だ。

生きていれば不幸が起こる。その時に腐らず、家族に相談し、ともに乗り超える。

その経験をすることで本当の幸福を得る事ができる

③一人の人間の幸福

この悩みは難題だ。

歯科医師の幸福は数字でわかるし、家族の幸福は感謝でわかる。

自分の幸福は目に見えない上に、勘違いしている事が多い。

私も歯科医師として医院規模を大きくし、売り上げをあげる事が自分の幸福だと勘違いしていた時期があった。

必要に迫られて熱中しているのか?

承認欲求で熱中しているのか?

本当に楽しんで熱中しているのか?

それらを自問自答する必要がある。

自問自答と簡単に言ったが、私も3年ほど悩んだ。

本当の幸福とは

では本当の幸福とは何か?それは

日々の当たり前の事に幸福を見出すこと

今日も家族がいてくれる事。

親がいてくれる事。

スタッフが勤務してくれている事。

患者さんがきてくれて仕事ができている事。

友人がいる事。

そして生きている事。

年収が5000万をこえたら…

衛生士がもっと増えたら…

メンテアポが増えたら…

その先に幸福が待っていると考えてしまうと、絶望する。

なぜならたどり着いてもまた別の悩みが生まれるだけだからだ。

今の私の感覚だと「〇〇をしたら幸せだ」という人は「東京に行ってビックになる!」という中学生と同じ感覚である。

矛盾しているが、仕事に全力をつくしていた3年前より、趣味・家族に時間を費やしている今の方がスタッフ数も多く、売り上げも多い。もちろん利益率はおちたが

自分の治療をへらし、利益は1000万ほど落ちたが、忙しくなく急患で来た左上7の抜髄もイライラすることなくできている今のほうが私には幸福と思える。

若いDrは不安だし色々と迷う。開業資金・結婚・子育てなど。

残念だが、30代で年商2億以上になっても不安だ。

周りから順風満帆と言われて、羨ましがられても不安なのだ。

そもそも不安をかかえ試行錯誤していくことが人生だと思う。

戸惑いこそがこそが人生だよ  byシルバーズ レイリー

おそらく60代までが伏線で、70才以降に伏線回収をしていくんじゃないかって思う。

何もない平凡な人生より、紆余曲折ある人生のほうが振り返って面白いだろう。

せっかくなら60代までは色々挫折して、70才に最高の伏線回収をしてみたい。

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