歯科医師の開業に夢を見るな|院長が最初に知るべき心構え

開業する院長にもっとも伝えたいのが「開業する時の心構え」である。

開業時多額の借金を背負う院長はとても不安であり、その不安から解消されたいと思い様々な情報に触れている。

情報に触れる事自体が悪い事ではないのだが、情報過多の時代には自分の中に「軸」がないと様々な事がブレてしまい苦しむ事になる。

自分中で断固たる決意をして様々な情報に流されないようにしよう。

私の断固たる決意

・経営者でも週40時間以上労働しない

・休日に勉強会に行かない(友人が参加していて遊べるなら別)

・歯科である程度稼いで、投資で資産拡大をする

・仕事とプライベートがかぶったらプライベート優先

・意識高い事は絶対しない(朝活など)

・合わない人間とは付き合わない

これが私の「軸」である。

30代前半の開業時はいわゆる「意識高い系」に影響を受けたという恥ずかしい過去もあるが、脱力した今の方が様々な事が上手く回っている。

何かに追われて焦っている若手歯科医師は私の断固たる決意をぜひ参考にしてもらいたい。

このような意識でも年商1億など到達できる。

経営セミナーは年商1億のハードルを上げすぎているのだ。

目次

代わりはいくらでもいる

院長同士で会話をしているとよく出てくるワードがある。

「あのスタッフが辞めたらヤバい」

「院長の私が仕事を辞めたら患者が困る」

そのような状況になった時に私が伝えたい事はたった一つ、

安心してほしい。代わりはいくらでもいる。

スティーブジョブズが死んだ時「アップルは終わった」と世間からは思われていた。

しかし今アップルはどうなったか?

スティーブジョブズが死んだ後もアップルは業績を伸ばし続けている。

あのスティーブジョブズですら変わりがいたのだ。

院長、スタッフなどのアナタ達レベルが仕事を辞めたところで誰も困る事はない。

1か月後には何の変哲もない日常が戻っている。

ちっぽけな島国の小さい市場規模の歯科業界のスタッフや院長などいくらでも変わりがいる。

重要なポジションのスタッフが辞めると絶望を感じてしまう院長や、自分が体調不良で仕事ができなくなった後の事を考えてしまう院長も多いだろう。

しかしすぐに変わりなど見つかる。

私も継承時様々な揉め事などがあり、何名かスタッフが辞めた。(ほぼ解雇に近いスタッフもいた)

色々な業務を任せ、父からの信頼も厚いスタッフの退職だったため当時の私はかなり絶望を感じていた。

しかし今はどうか?

他のスタッフが育ち当時よりも働きやすい環境の歯科医院が構築できているし、今の方が経営的には安定している。

塞翁が馬

塞翁が馬

砦の近くに住む老人で、占いの得意な人がいた。(ある時、)飼っていた馬が何の理由もなく胡(西北方の異民族の地)に逃げていった。(この件について)周りの人々はなぐさめ慰めに来た。

その老人は、 「これがどうして福にならないだろうか。(いや、なるだろう。)」と言った。

数ヶ月たつと、その馬が胡から駿馬を連れて帰ってきた。周りの人々は(この出来事を)祝った

その老人は 、「これがどうして禍(わざわい)とならないだろうか。(いや、なるだろう。)」と言った。

老人の家に良馬が増えた。その老人の子供は乗馬を好み、落馬して股(もも)の骨を折ってしまった。周りの人々はなぐさめ慰めに来た。

その老人は、 「これがどうして福にならないだろうか。(いや、なるだろう。)」と言った。

それから1年経って、胡が砦に攻めてきた。働き盛りの男達は弓矢を引いて戦い、砦の近くに住んでいた者は、10人中9人が亡くなった。

彼(その老人の息子)一人だけは、足が不自由と言う理由で、父子は互いに無事だった。

つまり

福が禍(わざわい)となり、禍が福となる、(そのような)物事の変化の微妙さを見極めることはできず、物事の道理の奥深さは推し測ることができないのである。

経営していると様々な事が起こる。

歯科衛生士や歯科医師が集まり患者や売り上げが増えると調子にのる事がある(年商1億を超えると多くの歯科医師は自分が優秀な人間だと勘違いする)、しかし人が増えると人間関係トラブルやクレームが増える。

規模を拡大し経営が上手くいっている事をインスタで発信している先生も、実は色々なトラブルを抱えており、周りが思っているほど状況はよくない

反対にスタッフが一機に退職し患者や売上が減った先生を見るととてもかわいそうになる。

しかし一気にスタッフが減るという事は医院が浄化されるという事でもある。別れがあればその空いた隙間にいい出会いが訪れる。別れがあり隙間が空かないと出会いは訪れないのだ。

良い事が起きたときに調子に乗り過ぎず、悪い事が起きた時に悲観的になりすぎない事が大切なのだ。

悲観的になる気持ちも状況は思ったほどよくもなく、思ったほど悪くもない。

諸行無常

祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響あり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。

「おごり高ぶっている人の英華も長く続くものではなく。まるで春の夜の夢のようである。勢いが盛んな者も結局は滅亡してしまう。風の前の塵と同じだ。」

平家物語の冒頭の一説である。

どんなに栄えている歯科医院も必ず衰退する時がくる。

それは当院も例外ではなく、私が40歳50歳と年を重ねた時に今の規模を維持できるとは思っていない。

開業時はモチベーションがMaxに高い状態であり、色々な推測を見誤りやすい時期だと言える。

その勘違いは規模や求人に色濃く反映される。

規模拡大を目指すのはいいが、規模の大きい歯科医院を継承するのはとても難しい。親子なら尚更だ。

開業の多くは30代であり部活などの後輩たちを勧誘すれば勤務医は多少集める事はできる。しかし問題はその後であり、その後輩たちもいずれは開業していくので、そのあとの勤務医獲得は難易度が跳ね上がるのだ。

歯科医師や歯科衛生士が足りなくなった時には、いつでも「規模や売り上げを下げるという決断をする」という意識が大切だ。

今の状態を無理やり維持しようとするから試行錯誤しもがき苦しいのだ。

状況など刻一刻と変わっていく、その時にその場その場の状況に応じて歯科医院や意識を変化させていく事が大切。

”今”を維持しようとするから苦しみが生まれるのだ。

何事にも執着せず流れに身を任せる

スタッフはいずれ辞める

どんなに時間をかけて育てたスタッフもいずれは辞める時が来る。

特に女性が多い歯科業界はそのサイクルが早い。

「辞める」という事に怒りを感じる院長もいるが、辞める辞めないはスタッフが決める事であり院長が感情を出してはいけない。

「人は辞める」という前提での組織運営が必要である。

例えば

・仕事をスタッフ1人だけに任せない

・人に頼らないシステム

・業務の標準化

院長が先頭に立ちスタッフを鼓舞し意識の高いスタッフを集め生産効率を上げるそれもいいだろう。

しかし人手不足が深刻な日本では、意識が高く素晴らしいスタッフほど変わりが見つかりにくくなってきている。

業務を標準化し誰にでもできるようなシステムを構築する事が最も大切なのだ。

歯科医師は真面目な人が多く、患者のためにと様々な診療メニューを用意してしまう。

しかしそれらが本当に医院経営に役立っているかはかなり疑問が残る。

メニューを増やし幅広く患者を受けるようにする事が必ずしも正解ではない。

診療メニューを減らし在庫管理やスタッフ教育を単純化する事、そうすると新しいスタッフが入社してもすぐに院内システムを覚える事ができ、戦力になるまでの時間が短くなる。

開業したばかりの院長はセミナーで聞いた事をすぐに院内に導入しようとするが、一歩踏みとどまり状況を把握する事が大切である。

現在の保険制度において歯科医院を最も標準化する事はできるのは、保険主体のメンテナンス型歯科医院の構築である。

余白を作る

院長は意識的に「余白」を作る事が大切である。

平日は診療や雑務に追われ、休日はセミナーに参加していると人生の余白がなくなる。

特に若手時代は日本全国をセミナーで飛び回っている歯科医師がカッコいいと勘違いしてしまう時期もあるが、そのような生活を続けると様々な所にしわ寄せがくる。

・疲れから治療中にイライラする

・イライラがスタッフに伝わる

・仕事の疲れが家族に影響する

これらを改善するためには院長がする必要のない業務をスタッフにまかせる事が大切だ。

考え方としては”時給”を意識する事だ。

仮にアナタが求人を出すとする。業務内容は有給管理、シフト作成などの業務だ。

そんな時にわざわざ時給が高い人を雇用するだろうか?

業務内容が同じであれば時給が低いスタッフを雇用したほうが経営的には得にきまっている。

歯科医院の中で時給が一番高いのは当然院長だ。

時給が高い院長が他のスタッフができる仕事を自分でやる事にメリットはない。

時給を意識する事で適切な判断ができるようになる。

真面目な人は「余白は時間の無駄だ」と感じる事も多いだろう。

しかし人間は何もない時間は苦痛で、時間が空くと立ち止まって色々な事を考えるようになる。

この「立ち止まって色々な事を考える」という行為が重要なのだ。

毎日予定を詰め込み

「朝活→診療→居残り練習→スタッフと相談」

このように忙しく行動している院長の多くが前進した気になっているだけだ。

目の前の忙しさで満足していると、知らず知らずのうちに人生の進む方向を間違える。

では具体的にはどのように「余白」をつくるのか?

それは「予定をいれないという予定をいれる」のだ。

余白を用いて人生の軌道修正をするといいだろう。

余白は軌道修正の時間

開業を控えた歯科医師へ

いかがだっただろうか?

セミナーでよくある「ロケットスタート開業」などというものとは全く違う捉え方かもしれない。

今回のブログのような考え方でも年商1億の歯科医院を構築する事など簡単だ。それが今の歯科業界なのだ。

ではなぜセミナーでは「年商1億の壁」や「治療技術の向上」といわれているのか?

その答えは単純で、そう言った方が儲かるからだ

儲ける事を考えているセミナー主催の歯科医師や業者の意見を聞くか、全く儲ける気のない匿名で活動している年商2億歯医者の意見を聞くかはアナタが自由に選択するといいだろう。

移り変わりの激しい開業という道の中で大切な事は「先生自身が何を望んでいるか?」である。

セミナーでは「成功」という文字が並び、お金を稼ぐ事、規模を拡大する事が「成功」と勘違いしてしまう。

しかし成功の種類は人間の数だけある。

私の成功とは「無理をしない経営」である。

具体的には年商、年収は下がってもいいし、自分やスタッフが疲弊するような働き方をするつもりはない。

さらに今当院はスタッフの人間関係もかなり落ち着いており、規模拡大をするために様々な人を無理やり雇用するつもりもない。

休日や趣味、友人、家族の時間を潰してまで勉強会には参加しない。

これらの願いが叶っている今の私は成功者かもしれない。

開業する先生方には周りと比較した成功ではなく先生自身の成功を掴んでもらいたい。

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