勤務医時代は色々と悩みが多い。(開業するとそれの20倍悩みはあるが)
今回の記事はあくまで「経営」という面からお伝えする。
本来は自分のやりたい事でお金を稼ぐ事がベストなのだが、そう上手くいく人ばかりではないし、というか上手くいかない人が99%である。
このサイトでは何度も伝えているが、人生は歯科医師としてのみあるわけではない。
人間として、親として、子供として、友人として様々な側面をもっているしそうあるべきだ。
その上で人生のバランスをとり後悔のない人生を歩むときに、歯科医師として「ストレスを少なく経営」をすることはとても重要になる。
今回は「売り上げ」という表現が多くでるかとおもうが、そこに固執しすぎないようにしていただきたい。
特に若い勤務医や開業医は年収や年商が多い方がかっこいいという”幻想”に取りつかれやすいため注意してほしい。
フリーザ戦のスカウターのように数字で能力ははかれない。
年収や売り上げはあくまで数字であり、その人の能力を表すものではない事を理解して読みすすめてもらいたい
勤務医時代の悩みとは?
勤務医の皆さんの悩みはなんだろう?
院内の人間関係
医学的に正しい治療をしたい
保険を回しているだけだから飽きた
給料がひくい
治療をやらせてくれない
様々な悩みがあるだろう。
完璧な職場はない。今の医院に悩みがあるなら早めに解決したほうがいいだろう。
新しい治療を導入したいというDrがいるが、基本的には嫌がられる事が多い。
当院はメンテナンスで売り上げが成り立っているので、多少在庫が増えようが好きに材料を買ってもらっているが、普通の医院には難しいだろう。
さらにDrの性格も影響する、新しい治療は滅菌や準備などスタッフの仕事も増える。その時にこの先生の頼みなら聞いてもいいと思える関係作りも大切なのだ。
院長が何もしてくれないと嘆く前に自分に原因がないか考える事も大切だ。
勤務医がこれからの時代にやるべきことは何か?
結論から言うと今後は「矯正」を身に着けるべきだ。
インプラントは完全に下火だ。
2022年にはインビザラインが流行り株価が10倍になったが、今は急落しているし、アメリカの矯正学会はの主流はシェイプメモリーアライナーになっている。
- インプラントを勉強しないほうがいい理由
一般人には症例が限られるし、予後を何年も見ていく必要がある。さらに月数本のインプラントだけでは、経営は赤字である。
アポが何時間も必要だし、自分はその治療につきっきりになり、さらにスタッフ教育や滅菌などやるべきことが多すぎて見返りがすくない。
当然広告費もかかるしストレスがかかる。
経営は極力ストレスと院長しかできない事を減らすことが大切なのだ。
「矯正を勉強したいけどどうしたらいい?」開業してから矯正の大切さに気が付きこのような質問をよくうける。
自分で開業してから矯正をみにつけるのはほぼ不可能だと思う。時間が足りないし、矯正はなくても飯は食っていける。
勤務医に質問をされる場合には、矯正をある程度院長がやっている歯科医院に勤務するのがいいと伝えている。矯正を学ぶときに大学病院にいく必要などない。
矯正の医局に入り時代遅れの雑用などをやらせれて大切な時間を無駄にするくらいなら、認定医などいらないから矯正をやっている開業医に勤務しよう。
私も卒業後は矯正開業医に勤務して70%の矯正を習得した。
当然難症例はできないし(Ⅲ級、開口)、認定医も持っていないがそこまでやる必要はない。
難症例をⅠ級・1歯対2歯でしあげる事が目的でなく症例を判断して簡単な症例をやり、一家全員メンテナンスに通ってもらう事が目的なのだ。
さらに2024年保険改定で口腔機能もかなり保険に導入された。今後は歯並びの関心がより高まるだろう。
開業場所の選び方
私は田舎での開業をすすめるが、都会と田舎はそれぞれメリットデメリットがある。
開業するなら大都会か田舎のどちらかがいいだろう。
私のいう田舎とは最低人口8万人以上で8万人を下回っている地域で開業はしない方がいい。それは将来性がまったくないからだ。
今は流行っていても何年か後は人がいなくなるだろう。親がそのような土地で開業していてもどんなに流行っていても絶対に承継しないほうがいい。
患者数以前に今後の人口減少は顕著で、そのような地域は20年後には行政を維持する事が困難になるし、人がいないので若い人の求人確保が不可能なのだ。
都会とは歯科大学がある都道府県の中で、主要沿線沿いである。
東京なら山の手線、大阪なら御堂筋線、名古屋なら東山線だ。
ここのメリットは圧倒的に求人に有利で、無名院長でも歯科医師求人に圧倒的に有利なのだ。
中途半端な都会で開業すると土地・家賃・人件費・広告費が高額になりキャッシュフローが安定しない。全国で保険点数が変わらないのに都会だと支出が多くなりすぎる。
田舎(人口8万人以上)
・メリット:患者がくる。特にメンテナンスは増えやすい
・デメリット:求人が来ない。Drの確保はあきらめたほうがいい
都会(主要沿線)
・メリット:Dr求人がくる。自費が多い
・デメリット:家賃、広告費がかかる。売り上げが自費に依存する
仮に開業を目指しているなら、時代の流れをよむ事で「売り上げ」という面では楽になる場合が多い。
もちろん歯科医師としてやりたい治療をやり、患者・スタッフ・自分が満足しさらにお金までもらえるなら最高だが、それは困難だろう。
勤務医は自分の実力を過大評価する傾向にある(数年前の私もそうだった)
セミナーや学会に時間とお金をかけ、しっかり勉強すれば夢が叶うと考えてしまっている。具体的には保険治療でしっかりと医学的な治療をしたいなどと考えている。
つまり勤務医は医療と経営の区別ができていないのだ。
私の同世代はほとんど開業医だが、やはり開業してから区別できるになっている。
私は実家を継いだのがはやかったので、勤務医時代の同級生たちの意見がどんどんかわっていくのを見る事ができた。
勤務医時代に考える事
- 今後の歯科医師の人数
今後は間違いなく歯科医師数は減少する。といかすでに減少している
団塊の世代の引退・国家試験合格者数の減少・女性歯科医師の増加など今後は代診の確保をあきらめた方がいい。
30代はまだ確保はできる。それは後輩たちが開業していないからだ。しかしその後輩が開業したあとは、後輩の後輩になる。その時が難しいのだ。
獲得できる医院の条件は
・単独型の研修医の臨床実習であること
・学会で有名な先生であること
この条件がない医院は給料と福利厚生でしか魅力がない。給料など青天井だ。
さらに高い給料をはらって性格がおかしい代診がきた時は絶望だ。
- 勤務医のほとんどが院長を超える事はできない
勤務している時は色々と医院の批判をしたくなるし、人間はそういうものだ。
偉そうにこんな記事を書いている私も常勤で勤務している時は、医院や院長の批判をしていた。
「俺ならもっとうまくできる」
「求人にもっと力を入れればいい」
など今当時の自分に合ったら往復ビンタを3往復するだろう。
私は開業前に4つの歯科医院にお世話になったが、売り上げという目線では今は3番目だ。
3億や4億売り上げている先生ばかりだった。
そして私は2億の売り上げだが、今までいた代診は現在は誰も私をこえていない。
40代、50代で代診を雇用しようとする院長は経営という部分においてとても優秀であり、さらに現状に満足しないのだ。
考えてみてほしい。
自分が40歳以上になったときに、お金の心配がなくなった時に、代診を雇い患者を増やしたいだろうか?
ほとんどの人はNoである。
勤務医時代に大切な事は、おそらく自分より優秀である院長の考えをしっかりと理解することだ。
院長の言う事をすべて聞けとまでは言わないが、勤務医やスタッフが考えている事は院長もすでに考えているという思考でいるべきだ。
なぜ開業するのか?
今の勤務医はこの事をしっかりと考えたほうがいいだろう。
開業する理由は何か?
「実家が歯医者だから」
「お金を稼ぎたいから」
「自分のしたい治療をしたいから」
「人から指示されたくないから」
「まわりが開業しているから」
色々な理由があるが、しっかりと自問自答し、勤務医と開業医ではどちらが幸せかを考えよう。
都会でも田舎でもある一定以上の売り上げにならないと勤務医の方が給料もよく、ストレスも少ないという事がおこる。
私の勤務医時代とちがい、初任給で60万もらえる歯医者もある。さらに開業時の設備投資は2億をはるかに超える。
勤務医や分院長で開業よりはストレスがなくある程度の給料で働き、貯蓄を投資に回せばそれなりの生活ができる。
ブランド品や高級車はある程度買うと必ず興味がなくなるという事を覚えておいてほしい
歯科に興味がないとあきらめている勤務医へ
歯医者になったが歯科治療に興味がないと自己嫌悪におちいっているDrがいる。
安心してほしい私も歯科治療はほとんど興味がない。
保険改定などのセミナーはしかたなく受けるが、それ以外は全くうけない。
診療後の勉強会も休日のセミナーも一切参加していないし、今後も参加するつもりはない。
学会だけは旅行気分で友人と参加している。
歯科業界は休日をつぶして勉強する事や時間をかけて凄い症例をつくる事がかっこいいという風潮があるが、休日に歯科の勉強をする人は公私混同していまっているのだ。
当院と同様に治療に興味がないDrでもメンテチェック、簡単な保険治療、レントゲン照射などをやってもらうだけでも時給5000以上だす歯科医院は絶対にある。
当院もそうなのだが、田舎でメンテ主体で開業している医院は家賃、技工料、広告費などの固定費がかからないので、給料にまわせるので、時給5000円はらってでも来てほしいのだ。
さらに有給などしっかりしているのと同時に、子供の発熱や急な休みに対応できるようにアポは1日10人ほどだ。
勤務医はインビザラインやインプラントの大型症例ができるよりも、スタッフと仲良くできる普通の歯医者の方がありがたいのだ。
歯科に興味がない若手Drは田舎のメンテ主体の医院を就職先に選ぶといいだろう。
必ず幸福度の高い人生になるだろう
あなたがめざすべき歯科医師像は?
スタッフ・患者が多い
休日はセミナー参加
全国を飛び回っている
筋トレをして体系維持
有名な先生と会食
家族サービス
こんなのは無理だ。いずれ体調を悪くする。
SNSで意識高く発信している人に惑わさせてはいけない。日常が切り取られているだけで怠けている日も絶対にあるし、そもそもそんなにやっていない可能性もある。
まわりに流されず自分がやりたい事をやる。
まわりが開業したから開業するのではなく、開業したいからするのだ
まわりが開業してないから開業しないのでなく、開業したくないからしないのだ
まわりが歯科医師会に入ったから入るのでなく、入りたいと判断したから入るのだ
まわりが歯科医師会に入っていないから入らないのでなく、入りたくないと判断したから入らニアのだ
あせる気持ちもわかるが自分の人生を歩けばいい。
歯科医師としての人生はまだ50年ある。短距離走ではなく長距離走だ
あなたの近くにいる治療がうまいDrも、年収がたかいDrも何十年後には特に変わらない人生を歩いているはずだ。