歯科医院継承に失敗しないための順番

歯科医院は継承がとても多い

私もそうだが、親が歯科医であったため歯医者になった人がほとんどだろう

周りから見ると私の継承は【成功】とみられる事が多いが、実際ははとても難しかったし苦しかった。

自分もそうだが、人は表面的な部分しか見えないとつくづく実感する

今回は、継承に必要な順序を説明していく。

目次

どんな医院を継承したか?

継承した医院は、完全に昔ながらの歯科医院だった。

1階が診療所で2階に居住、徒歩2分の場所に祖母の家がありる完全な地域密着型の歯科医院であった。

家族経営を毛嫌いし、会社のような歯科医院を目指していた当時の私には苦痛だったが、

親族と近いことや家族経営にもメリットは存在する。

家族経営メリット

  • 何かあれば助けてもらえる
  • スタッフに頼りにくい部分を助けてもらえる(お金関係)
  • 広告費をかけなくても患者がくる
  • 地元の友人などの安心感(人それぞれだが)

家族経営デメリット

  • いろいろと口だしがある
  • トップが複数だと現場が混乱する
  • 家族を頼ってしまいスタッフに任せる事が難しい
  • 経営方針批判がすぐに耳に入る

親に言われたから実家を継ぐではなく、もっと広い視野でもの事を見た方がいいだろう。

休日に歯科の勉強ばかりしていると、視野が狭くなってしまう。

世の中はあなたが思っているよりも、何倍も広い。

休日は歯科関係以外の人に会ったほうがいい

継承をして成功・失敗とても多くの経験をした

実家を継ぎ、年商2億スタッフ30人の歯科医院をつくった。

まわりから見ると順風満帆にみられるが、決してそうではない。

隣の芝は青く見えるのだ

継承をスムーズに行うには順番がある。

おそらくこの方法がベストだ。

  • 医院の事をすべて覚える
  • スタッフからの信頼を獲得する
  • スタッフに新しい院長についていくことにメリットがあると思わせる
  • 問題のあるスタッフは解雇する
  • リニューアル
  • 院長が主導で院内システムを変えていく
  • 院長がやっていた仕事を任せていく
  • 医院の事をすべて覚える

継承するのはあなたの親が何十年もやってきた医院である

そこには既存スタッフや親の思いがいっぱいつまっている

若い世代からは、無駄に見える事もいろいろな歴史があり、そのシステムになっている事がおおい。

それは、誰かに配慮したシステムかもしれないし、スタッフの事を想い誰かが立案したシステムかもしれない

その部分の思いを無視し、いきなり帰ってきた若い院長が、機能面だけでシステムを変えると反感や混乱を生む

女性は効率よりも、つながりを重視する

そもそも治療しかやってきていない若い院長が、医院を継承する事を喜んでいるのは、親だけである

スタッフも患者もそんな事は望んでいない。

私もいきなり患者にラバーをして激怒された事があるしスタッフも混乱した

歯科医師的な最良の治療が、患者やスタッフの最良の治療ではない

帰ってきたばかりの、治療に対しての熱さだけもっている未熟な院長は

まずは、医院の事を丸暗記するべきなのだ。

  • スタッフからの信頼を獲得する

医院の事を一通り覚えたなら、医院をしっかりとまわせるまで時間をまつ

「若い院長に任せたほうがスムーズだ」

「若い院長の方が、丁寧でクレームが少ない」

スタッフが若い院長に任せる事ができると思うところまでじっくりまつ。焦ってはいけない。

色々な事をスピーディーにこなしたくなるが、じっくり進むのだ。

今後何十年も自分が思った治療はできるのだ(99%の歯科医が3年もすれば飽きるが)

このステップで重要な事は信頼できそうなスタッフを見極める事だ。

信頼できるスタッフを見極めるのはとても難しい

仕事ができるスタッフ=信頼できるではない

さらに、自分が見て信頼できたとしても、親やほかのスタッフからの信頼があるかは全く別である

私もいろいろ苦労した

最初に選んだ助手チーフは、20年勤めていて仕事がとてもできて、父からは信頼がとても厚い

一見とても優秀だが、下のスタッフへのあたりがとても強く

診療時間外に私がその相談に割く時間がとても増えた

歯科衛生士チーフも父からの信頼がとても厚く、医院の事をしっかりとまわしてくれた。

しかし二人とも私とは合っていなかったように思う。やはり年齢という壁は大きかった。

そのあたりの話は今後詳しく書いていく

  • スタッフに新しい院長についていくことにメリットがあると思わせる

ここまでスタッフの信頼を獲得したら、次に給与や福利厚生を整える。

継承する医院はそのあたりが昔のまま残っている事がほとんどだ。

「こんな福利厚生で経営しているなんて父親に才能がない」

そういう考えは全く違う。

そんな福利厚生でも長年いるスタッフは”居心地”がいいのだ。

実際におこなった事例

・DHチーフ月給+10万

・DAチーフ月給+5万

・そのほか非常勤スタッフふくめ全員給与をあげた

・月1回院長、チーフ、社労士でミーティング

・月1回全体ミーティング

・月1回幹部ミーティング

・ミーティングは勤務時間内

・有給は常勤は半日単位で取得可能(Drも)

・非常勤も有給をしっかりとる(DRも)

・診療時間の短縮

 最終アポ19時→平日18時 土曜17時

・振替診療なし

・交通費全額支給

・退職金制度の見直し

・産休育休

・予防接種の全額医院負担(インフルエンザ、B型肝炎)

・セミナー補助

・拡大鏡の貸し出し

・ハラスメント窓口の設置

・住宅手当

  • 問題のあるスタッフは解雇する

判断が難しいが、私の判断基準は

「周りに悪い影響を与えるか?」

「反抗的か?」

覚えるのが遅いスタッフにイライラする院長がいるが、時間がたてば誰でも覚える。

いくら仕事ができても、医院の悪口を他のスタッフに言ったり、

そのスタッフが原因でほかのスタッフが辞めるなどした場合には解雇をしたほうがいい。

最も重要なのは解雇のタイミングである

私も20年以上勤務している先代のお気に入りスタッフを解雇したが、

理由をつけて他のスタッフに仕事を引き継ぎさせて、解雇した。

スタッフは何の理由もなく、仕事を取り上げられる事を嫌う。

院長から信頼されていないのではないかという不安があるからだ。

仕事がなくなったタイミングで、今までの院内トラブルを社労士から告げてもらい

自主都合退職とさせた。

そのスタッフとは私も6年一緒に働き、医院にも20年在籍してくれて、感謝はしている。

しかし、他のスタッフへの影響(を考えて、解雇という決断をした。

大切なことは解雇をする前に、福利厚生を充実させ、求人がくる事をしっかりと確認する事である。

歯科医院は労働集約型であり、人は力である

解雇するにはその理由とタイミングが重要

  • リニューアル

いよいよリニューアルだ。

借入は全額長期で借入し、自己資金は投資にまわすべきだ。

父親世代は借金は悪と考えている人も多いが、それは間違いである

住宅ローンもそうだが、借りる事ができる金は絶対にかりるべきだ

ぜひ、「金持ち父さん貧乏父さん」を読んでほしい。

全世界株式などに長期、分散、複利で運用すれば年5%など容易である

リニューアルは自分の強みを全面に出すべきだ。

くれぐれも間違ってほしくないのだが、意気込みすぎて自分の性格とあっていない事をしてはいけない。

朝からみんなで「ありがとうカード」を配ったり、テンション高くハイタッチをしたり

もちろんそれがあっている院長もいる。

私の周りで開業した友人で、そのような活動をしている人もいるが

何年も続いているのは、そのテンションがあっているからだ。

それはスタッフにも言える事だが、そんなテンションで毎日いられる人などほとんどいない

導入するのは勝手だが、その医院になじむスタッフを獲得するのは、人不足のこの時代にかなりの困難を伴うであろう。

そんなことより、周りより少し給料を高く、福利厚生をしっかりし、院長が細かいことで怒らなければ人はあつまる

私は多少できなくても、言った事の30%くらいで働いてくれれば満足だ

医院の設計を知りたければ、周りの内覧会にいくことだ。

私もリニューアル前は10件ほど内覧会に足を運んだ

お菓子をもっていけば、喜んでいろいろ説明してくれる。

  • 院長が主導で医院を変えていく

リニューアル後は院長主導で医院を変えていく必要がある。

3年は全力で走る事をおススメする

これからの歯科医院はDX化は必須だろう。

  • 院長がやってきた仕事をまかせていく

私がこのステージだ。出勤はしているが、治療は週に3日程度だ。

当然私が治療をすれば売り上げも収入もあがる

しかし、私が馬車馬のように働き数百万の年収をあげる事は、私にとってなんの意味もなさない

数字の目標は幻想にすぎない

歯科医院としてのゴールを決める

目標をたてる事と同じくらい、ゴールをつくる事も大事だ。

私たちは小さいころから、目標ばかりたててきた。

テストの点数、受験、部活の試合など

今の自分の限界やゴールをきめて、現状に満足する事も大切だ。

今の私のゴールは年商2億・年収8000万で十分である。

今後いろいろなDrと出会いチャンスがあれば、分院展開も視野にいれているが、

なんとしても分院をつくるというような意気込みはない。

結局すべては運なのだ。

凡人の私たちがどうにかできるわけはない。

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