自己啓発セミナーは不要だ
何度か参加したくらいでは何もかわらない
私も開業したばかりの時はいろいろな自己啓発セミナーに参加したが、結局何も変わらなかった。
「何も変わらなかった」は御幣があるので正しく訂正すると、セミナーを受けて1週間は変わったが、それ以降は今まで通りに戻ったが正しい。
歯科医になったばかりの時に、自己啓発セミナー費用に200万以上つぎ込んだし、自己啓発本や成功者と言われる人達の自伝も何十冊も読んだ。
それでも1週間もたつと以前の自分に戻ってしまった。
最近では意識高い系YouTuberが、
朝5時起き→筋トレ→出社→ランチはささみ、ブロッコリー→午後の仕事→資格の勉強→筋トレ
などの生活をアップしているが、絶対に昼寝してるし、カッブラーメンとか食べているはずだ。
切り取られたメディア情報に左右されてはいけない。
この記事を読んだら、私のようにそのような無駄金を使わなくなるだろう。
自己啓発セミナーは全て同じ内容
自己啓発セミナーに何度も参加した結果わかった事がある。
それは言っている事はどのセミナーも同じだという事だ。
- あきらめるな
- チャレンジする事が大切
- 常に向上心を持つ
- 朝礼でハイタッチやありがとうカード
- まずは量をこなせ
そのあとに成功事例が登壇しいかに自分が涙ぐましい努力をして成功を掴んだかの実例をしゃべる。
参加した事がある人ならわかるが、とても良いことを言っているので、そのような情報が入るとしばらくは”躁状態”になってしまう。
しかし1週間もすると元の状態に戻る。
実際、医院に自己啓発セミナーを取り入れスタッフも巻き込もうとすると、時間も費用も膨大にかかるし合わないスタッフはやめていく。
労働力不足の2024年において、院長自身が求人の間口を狭くしてしまっているように感じる。
自己啓発セミナーを受け入れる事ができるスタッフはやる気にみなぎっている場合が多いし、そのようなスタッフがいると医院経営として助かる事も多いが、やる気のあるスタッフに依存しないといけない経営体制にしている事が問題なのだ。
歯科医院の取り組みの中には休日を犠牲にして講演会を開いたり、セミナーに参加したり休日に地域の清掃活動などをしている。
そのような活動をして年商5億とかまでいけるのであれば、話は変わるだろうがせいぜい年商1~3億程度だ。
その程度なら保険主体で歯科衛生士の求人さえできれば自己啓発セミナーなしで十分目指せるし、その程度をめざしてわざわざストレスをかかえる必要なんかない。
人間の”幸福“は3種類
人間には”3種類の幸福”が存在する.
それはセロトニン的幸福、オキシトシン的幸福、ドーパミン的幸福である。
セロトニン的幸福:「やすらぎ」「癒し」の幸福感
ex)今日は天気がいい、健康
オキシトシン的幸福:「つながり」の幸福感
ex)パートナー、子供と遊べる幸せ
ドーパミン的幸福:目標を達成したときに分泌される「成功」の物質
ex)仕事の成功、ブランド、人からの承認欲求
多くの人は「幸福」を考えた時にドーパミン的幸福しか考えない
「出世したい」「外車にのりたい」「ブランドが欲しい」「年商をあげる」「歯科医師から認められたい」
これらはすべて「ドーパミン的幸福」だ。
ドーパミン的幸福の特徴としては”長続きしない”事があげられる。
あなたも経験した事があるだろうが、ブランドや外車を買うときに、それが手に入る前が一番ワクワクするが、実際手に入ってしまうと、また次のブランドに興味がでてくる。
一度目標を達成するとその目標は消えてしまい、そしてまた新たな目標が生まれる、その繰り返しで疲弊してしまうだろう。
幸福には順番がある。
まずは自分が生きているという事が幸福であり、日常の何気ない幸福に目をむける。
そして次はパートナーや子供、仕事を通じて社会と繋がれていることに幸福を向ける。
最後は仕事の成功や目標達成の幸福に目を向ける。
「セロトニン的幸福⇒オキシトシン的幸福⇒ドーパミン的幸福」
この順番を間違えると本来の幸福から遠ざかってしまう。
歯科医師の幸福というと年収が高かったり、規模の大きい歯科医院を経営していたり、セミナーで他の歯科医師から注目をさせているような状況を連想するかもしれないが、はっきり言ってそんな事はどーでもいいのだ。
幸福の順番を間違えないように
開業は不安
開業時はとても不安であるのは事実だ。
個人で何億もの借金を背負う必要がある(2024年現在は2憶以上かかる)
それまで臨床しか勉強してこなかった人間がいきなり組織のトップに立たなくてはならない。
本当に患者はくるのか?
借金は返せるのか?
スタッフは集まってくれるのか?
この方針は間違っていないのか?
そんなときは、なにかにすがりたくなる。
何かにすがって「自分は大丈夫だ」と思いたくなる。
自己啓発セミナーに通い同じような悩みを抱えている院長達と悩みを共有し、自分がやっている事は大丈夫だと思いたくなるのだ。
仮に自己啓発セミナーを導入した場合を考えてみよう。
セミナーでは患者様のため、医院のために働く事が善となる。
その結果、スタッフには診療時間以外も仕事が降りかかってくる場合が多い。意識高い系は勤務時間など気にせず仕事をしてしまうのだ。
すると当然院長も診療時間以外の仕事が増えてくる。
休日をつぶして、セミナーに参加し、診療後も残ってスタッフと医院の仕事をおこなうようになってしまう。
その結果いけてせいぜい年商3億程度だ。
その程度にしてはついやす時間と労力があまりに見合わない。
さらに一度導入すると、一生そのスタンスでいなかくてはならない。
朝一からみんなで社訓やを大声で読み意味のないハイタッチをする。
そしてそれを今後何十年もしなくてはならない。
私はおそらく1週間で限界がくるだろう。
自己啓発セミナーや本で紹介されている”成功者”といわれる人達は必ず努力したと言う。
はたして本当にそうなのだろうか?
私はおそらく成功者のほとんどが「運」だと思っている。
私を成功者と言う人がいるのであれば、私も”運”だ。
たまたま良い外見をしていた
たまたま親が金持ちであった
たまたま良い場所で開業できた
たまたまいい人と巡り会えた
たまたま歯医者になれた
上場企業の社長や徳真会の松村 博史先生などは違うかもしれないが、私たちが自己啓発セミナーで話を聞けるレベルの成功者などその程度だ。
質が悪いのが彼らは自分が”運”で成功したと認識できていない事だ。
自分が努力をして成功を勝ち取ったと信じているし、過去のエピソードはよりドラマチックに変更されているだろう。
みんな自分の成功が”運”だなんて認めたくないのだ。
自己啓発セミナー導入医院に勤務したDrの末路
私の同期も何人か自己啓発セミナー歯科医院に就職した。
その医院は確かに凄い。スタッフが60人以上在籍していて、年商6億らしい。
チェアーは20台を超え、1日300人近い患者が来院する。
私と同期の勤務Drは衛生士と同じ給料で、朝から社訓を読み円陣を組み、休日は清掃活動をしていた。
ではそのDr達は開業後どうなったか?
当然開業後に全員が年商6億になれているわけではない。最も成功した人も年商3億程度だ。それも自己啓発セミナーを導入してその程度である。
自己啓発セミナーは必要ない
すべてを否定しているわけではない。
セミナー参加後の躁状態を維持できるのあれば、参加もいいだろう。
セミナーを受講して瞬間最大風速的に売り上げを上昇させる事はできるが、持続する事がとても難しい。それはスタッフも同じで一度医院に取り入れてもその風土にあるスタッフを採用し続ける必要がある。
そもそもその風土にあうスタッフを見つける事にかなりの労力を使うようになったしまっては、院長が常に全速力で走らなくてはならなくなる。
さらに歯科医師が参加するセミナーの言う”成功”とはドーパミン的な成功を意味している場合が多い。
ドーパミン的な欲望が無限に湧いてくる歯科医師は、売り上げや承認欲求をセミナーに参加してもいいだろうが、それらはいつか枯渇する。その時に振り返ると自分には何もなかったと気が付く時がくるかもしれない。
世の中はすべて”運”だとどこかで諦める方が幸福な人生かもしれない。