前回はなぜ歯科医師が投資に向いているのかを説明した。
今回は私が行っている投資をお伝えし、どのような投資が歯科医師にとって最適なのか具体的な内容をお伝えしていこう。
ちなみに最もダメな投資は銀行の付き合いで進められた商品を購入してしまう事だ。
歯科医師は優しい人が多く、ダメな投資商品を買ってしまっている場合も多い。
知識を付ける事でダメな商品を掴ませられないようにしよう。
まず大前提として初心者は個別株やFxには手を出さない方がいい。
たまに個別株やFxで儲かったと言っている歯科医師がいるがほとんどは嘘だと思っている。(一部本当に勝っている人もいるが)
一時的には儲かるかもしれないが、トータルではほぼ100%負けているはずだ。
歯科医師の仕事に時間がとられているのに空いた時間で勝てるほど甘い世界ではない。
その理由はあとでも説明するが、投資の世界はプロでも何年も勝ち続けるのは難しい世界なのだ。
歯科医師で個別株やFxで利益が出たと自慢している人の話を聞いた時の私の感覚は
「患者が2~3冊矯正の本を読んだだけでⅡ級開口症例を上下抜歯で直した」
くらいの低確率だと思っている。
それくらい難しい事なので個別株やFxで儲かった話をしてくる歯科医師はほぼ嘘だと思っていい。
では今回は具体的な銘柄の選び方をお伝えしよう。
最適な投資方法は?
投資には様々な種類がある。
株、債券、投資信託、ETF、Fx、不動産、リートなどだ。
そしてそれぞれリスクやリターンなど様々である。

これらの中から自分に合った商品を選択していくのだが、まずは債券や投資信託からスタートするといいだろう。
投資にそこまで興味がない人は預金、債券、投資信託の3つ(配分はその人の年齢による)で資産形成をすれば十分だと思う。
個別株、Fx、仮想通貨などボラティリティが高いので、初心者にはおススメしない。
債券や投資信託で投資を始めてみて、数千円でもいいので資産が増えるという実感を掴んでもらいたい。労働でお金を増やすという事がバカバカしくなる。
債券や投資信託はリスクが少ない分リターンも少ないため、大きく資産を増やすには10年単位で保有しないあまり効果がないため、根気強く保有する事が大切だ。
私の場合は研修医から投資信託による積み立て投資を開始したのだが、資産が勝手に増えていくという認識になったのは30歳くらいの時期だった。
債券選びのコツ
債券は大きく分けて国債、社債があるが初心者は国債がおススメだ。
国債:国が発行する債券で、国の財源を補うために発行され、購入者に対し利子を払い、満期に元本を返済する事を国が約束した金融商品。
・国債の信用ランク

債券は安全性などからランク付けされており、上の図のようになって分けられている。
一般的に信用度が高いものは安全性は高いが利率が低く、信用度の低くいものは安全性は低いが利率が高い。
AAA:ドイツ、スイス、カナダ
AA:アメリカ、イギリス
A:日本、中国、スペイン
この中でオススメはアメリカであり、安全性が高くい上に利率が3~4%前後の商品があるため買い時である。
・新発債、既発債
新発債:新たに発行される債券。期まで保有すれば元本割れのリスクが低い。
既発債:すでに発行され、市場(流通市場)で投資家間で売買されている債券。購入価格は額面金額と異なる場合が多く、最終利回り(購入価格から満期までの収益率)は日々変化する。
初心者は元本割れリスクが少ない新発債をおススメする。
ある程度投資に慣れてきたら既発債を購入し、債券でもキャピタルゲインを狙う事もいいだろう。
・償還期間
債券が発行されてから元本が投資家に変換されるまで期間のこと。この期間が短いほどリスクが低く、長いほど利回りや金利変動リスクが高まるため、期間が短いほど利息は低く、期間が長いほど利息が高い傾向がある。
長い商品は30年などがある。それまで定期的に利息を得る事ができるが、 リスクは増えるので人生設計にあった償還期間の商品を買うようにしよう。
私の個人的な考えでは債権の投資信託もあるが、それをやるくらいなら株の投資信託の方が資産形成には最適だ。なので債券は個別銘柄を購入する事が最適だと考えている。
投資信託銘柄選びのコツ
投資信託はどの様に選べばいいのだろうか?
①インデックスファンド?アクティブファンド?

投資信託にはインデックスファンドとアクティブファンドという種類がある。
上の図にあるようにインデックスファンドは日経平均などの指数に連動する事を目指し、アクティブファンドはそのような指数を上回る事を目指す。
一見アクティブファンドがいいように思えるが、初心者はインデックスファンド一択だ。
その理由は2つある
手数料に差がある
投資のプロが運用してもインデックスファンドには勝てない
・手数料
投資信託は自分の代わりにファンドに運用管理してもらうため手数料がかかる。アクティブファンドはその手数料が高すぎるのだ。
オルカンなどのインデックスファンドは手数料0.05%程度なのに対し、アクティブファンドは1%以上かかる。手数料が高いと運用成績に大きな影響を及ぼすのでしっかりと確認しよう。
私としは手数料が0.1%以上の投資信託を選ぶ事はほとんどない。
・プロでもインデックスファンドには勝てない
アクティブファンドは投資のプロが指数以上を目指すように運用していくのだが、下の図から分かるように長期でみるとプロと言ってもインデックスファンドには勝てないのだ。

よく商品を売りつけたい銀行員から
「アクティブファンドは投資のプロが運用するから安心」という言葉をかけられ多くの歯科医師は騙される。
もしそのような状況がきたら、自分の環境に置き換えて考えてみるといい。
「根治は歯科治療のプロがするから安全」この言葉に騙される歯科医師はいないはずだ。
歯科医師の中でも専門医がCT、マイクロ、ラバーを用いて何時間も根治をするのと、私みたいな治療に全く興味のない歯科医師が保険算定のためにとったCTでたった30分でする根治とではクオリティーが違いすぎる。
プロと一言に言ってもクオリティには天と地ほどの差があるのだ。
②どんな銘柄を買うべきか?
投資にあまり興味がない人は全世界株式インデックスファンド(オルカンで)十分である。
s&p500とオルカンどっちがいいか論争がよくある、私はオルカンを推奨する。
今のオルカンは60%ほどがアメリカ株であるが、残り40%はその他の世界株にも分散されているのでリスクが少ない。
そしてオルカンを推奨するもう一つの理由は今後のアメリカの情勢である。
世界の経済を引っ張っているのは現在もアメリカに間違いはないのだが、その地位が確実に揺らいできている。
細かくは「レイダリオ 変わりゆく世界秩序」というYouTube動画を見てほしい。
ポルトガル→オランダ→イギリス→アメリカというように世界の覇権国は移り変わり、その周期は100~150年。アメリカが覇権国となったのを第二次世界大戦後とするのであればいまは80年くらい。そろそろアメリカの覇権が終わるかもしれない。
次の覇権国がどこかの考えを書くと長くなりすぎるので割愛する。
つまり歴史からみるとアメリカの覇権もいづれ終わりがくる。そのため投資初心者はオルカンで全世界に分散投資をしておいた方が無難なのだ。
ちなみに2025年に関してはs&p500よりもオルカンのほうが成績がよかった。
NISAからはじめよう
投資初心者はまずNISAからスタートしよう。
NISAの最大のメリットは投資で得た利益に税金がかからない事であり、また少額から始められたり、いつでも現金化できたりとどんな人でも始めやすい環境が整えられている。
NISAの証券会社は楽天やSBIなどネット証券を使うと手数料が安くなり投資を有利に進める事ができる。
証券口座をつくる事は初心者にはストレスかもしれないので、経験のある知り合いに相談するといいだろう。
ちなみに当院では投資したいスタッフの証券口座開設を私がやっている。治療するよりもそっちの方が好きなので診療時間内にやっている笑
注意が必要なのは分配金ありの商品を選ぶと分配金が非課税投資枠を消費してしまいうので、資産形成期の若い歯科医師は再投資型の商品を選び、複利効果を最大限引き出したほうがいい。
私の投資銘柄
最後に私が現在保有している銘柄の一部を公開する。
年齢や何を目的にするか、現在の資産状況で保有するべき銘柄は人それぞれではあるので参考までに。
・S&P500
・全世界株式(オールカントリー)
・J-REIT
・日本高配当株式
・新興国株式インデックス
・ビットコイン
・イーサリアム
・米国債券(有価証券担保ローンでレバレッジをかけている)
他にも細かいものはあるが、これらをメインに資産形成をしている。
私の場合はS&P500や全世界株式で将来の資産形成を行い、J-REITや日本高配当株式、米国債で年4%程度の配当をもらっている。
当然、全世界株式などに投資金をすべてつぎ込んだ方が資産は増えるが、今不労所得が入ってくるという実感を得たいので一部配当銘柄にも投資をしている。
歯科治療以外で不労所得が入ってくるという実感が得れると、日々イライラする事が格段に減った。
今はスタッフが光照射器を落としても、インフルエンザで休んでも、土曜日に有給を使っても全くイライラしない。笑
まとめ
今回は投資初心者の歯科医師が始めやすい投資方法について、具体的な投資銘柄を挙げて説明した。
ストレスの多い歯科医師の先生達が投資を始め、少しでも「投資があるし歯医者なんかどーでもいいや」と思えるようになる事を願っている。
「歯医者なんかどーでもいいや」と思える事が次のステージの第一歩なのだ。
この記事を読んでまだ投資をはじめていない歯科医師は今すぐにはじめてほしい。
次回は「歯科衛生士不足問題」について考察する。
