開業するといろいろなセミナーがある
- 「地域で一番を目指そう」
- 「売り上げ1憶セミナー」
- 「スタートダッシュ開業」
まるで売り上げをあげる事が正義かのような表現を多くみる
【これらのセミナーのすべてが売り上げ第一で、それを目指さなければいけない】
というような表現になっている
このような言葉ばかりに触れていると、
研修医あがりの未熟な歯科医は騙されてしまう
このような表現をする業者は、魅力的な言葉をなげかけ、未熟な歯科医から利益を得ようとする
その事を理解して、そのセミナーに参加をするべきだ
もちろん売り上げを目指す事すべてが悪ではないが、セミナーで壇上に立つ院長の影には、そのセミナーで成果がでなかった何百人もの院長がいることを自覚しなくてはならない
恥ずかしいが、私もその言葉に影響をうけて5年ほどで、年商2億の歯科医院を作った
(地方で2億までのノウハウはブログで更新していこうと思う)
2億というととてもすごいと思う人もいるかもしれないが、はっきり言って何もすごくない。
普通の事をやっていけば、到達できる数字だ
振り返ると、年収、売り上げやスタッフ数などの「数値」を目標にしてもなんの満足感もえられなかった
今となってはそんな時代もあったと、俯瞰で見られるようになったが、当時はとても苦しんだ
大切なのは人と比べた数字の上に成り立つ「成功」ではなく
自分の生きたいような人生の上に成り立つ「幸せ」である
年商、年収、成功(なにをもって成功のかわかならいが)がなぜ何の意味も満たさないのか?
①年商
私も1憶、1憶5000、2億を目指していたが、その数字を超えたときに生じる感情は
「次を目指そう」である
年商が2憶にいくと歯医者からは凄いと賞賛される
開業がまじかにせまった同級生からは、たくさんの質問ラインが来る
周りと比較して売り上げがある私は「自分が素晴らしい人間」と勘違いしていまっていた
他人からの承認欲求をその数字から得てしまっていたのだ
周りからすごいと言われる事で、自分の自己肯定感が高くなったと錯覚していた。
『自己肯定感』というものを勘違いしている人が多い
人と比較した勝ち負けで、一喜一憂する人間は、もとも自分に自信がない人間である
「自己肯定感が高い人間」というのは、周りの目を気に似ないで、成功や失敗を受け入れ、自分が自分である事に誇りをもっている人間の事である。
今年商は2億だが、アポをいれてチェアーを増やせば、2億5000の売り上げにはなるだろう。
しかし、あえてそこは目指していない。
その先に「何もない」事をしっているから
②年収
売り上げ2億あれば、よほど経営が下手でなければ、年収5000万はある
年収5000万あれば、ほとんどのものは買うことができる。
かつてはベントレーにのりたかったが、レクサスを買って、自分が高級車に興味がないことがわかった。
高級車、ブランド、豪邸などに全く興味のない私には、年商以上に意味をなさない。
子どもの学費や一軒家などは費用がかかるが、それはミニマム開業して、余剰資金で投資をするほうがよっぽど正解である
今私は収入の60%を投資にまわしている。
(NISA、ideco、企業型DC、SBI/V/s&p500インデックス、SBI/V/全世界株式インデックス、eMAXISslim 新興国株式インデックス)
2023年の収益は+1300万
利上げが終わりアメリカ株が好調なのもあるが、利益がでている
投資をしている理由は、歯科医院からの収益以外に、「スタッフ」に左右されないお金、と自由な時間を手に入れるためだ
複利効果で年5~7%で運用していれば、将来かなりの金額と自由な時間が手に入る
今34歳だが、あと20年たてば、計算上は約8億(利益約5億)の純資産が手に入る
おそらく50歳あたりから、診療時間や日数をへらしていく
完全FIREすると人間は飽きると聞くので、週4休みにしたい
年収が1000万を超えたあたりから、日常生活で値札をみる事が減った。
収入と幸福度の関係も年収700万までは、比例関係にあるが、
それ以上の年収だとどんどんと鈍化していく研究結果があるが、
まさにその通りになった。
小学生がお菓子やゲームを欲しがり、新卒歯科医師がゲレンデやタワーマンションに憧れるように
人間は手の届かないものを欲しがっているときが一番楽しいことが分かった。
③成功
セミナーがかかげる「成功」はおそらく年商や年収だが、
「成功」とは人それぞれである
成功セミナーをかかげる業者に何十万も払うのは馬鹿馬鹿しい
2億程度までなら、そんなセミナーに金を払わなくても、到達可能である
スタッフや患者に感謝をする事はとても大切だが
自己啓発のようなセミナーを導入し、
そんな制度を導入しても、活用できる院長はほんの数%だ
自己啓発を導入した開業医を何件も見てきたが、ほとんどがグダグダになってしまっている
1年も続いている院長など1%もないだろう
開業時のやる気のある状態は、なんでもできる気がする
スタッフと家族のように接し、プライベートの相談もして、共に成長していく未来を想像する
しかし現実は全く違う
あくまで「雇用者」と「労働者」なのだ
スタッフに悩んでいる院長ほど「医院の事を考えるスタッフがいない」という
そもそも「医院の事を考えるスタッフ」などいないのだ。
「医院の事を考えるスタッフがいない」と言う院長こそ、【勤務医の時の自分はどうだったのか?】と聞きたくなる。
院長の悪口を一言も言わず、スタッフが辞めないように説得をし、給料は言われたままの金額で10年以上勤めたのなら、何も言わない。
まずそんな人はいないはずだ。
自分の含めまずは自分が第一だ。
スタッフからすると「スタッフの事を考えている医院などない」
経営者とはそのくらいドライであるべきだ
私の「成功」とはスタッフに左右されない、時間と収入のバランスである
何億も売り上げている院長が、週6で働き、診療後に毎日のように、スタッフと夕食をとる
そして、歯科の話や仕事の倫理観をつたえる
プライベートの時間を、診療後さえも仕事にさいているのを聞くと、
つくづく私とは合わないと思う。
このブログを見てくれた人が、開業医としての生き方の参考になれば
「成功」である
私たちは生まれて物心ついたころから、常に周りと競う事を求められてきた
中学受験、高校受験、大学受験、国家試験、周りの開業医
競争を繰り返すたびに、同じような能力をもつ人間と集団を形成し、より困難な競争に身を投じていく
そして競争の途中で、世間で名前を挙げている意識高い系のビジネスパーソンの本や、テレビ番組をみて、つくられた「成功」に向かって、息切れすることもわすれて、走りつずけていく
何かに没頭する日々は人生には必要だ
私が伝えたいのは、人生は緩急があればこそ楽しいということだ。
開業したから、歯医者だから
という理由で常に全速力で走る必要はない
卒業して10年走り続けてきた
今私は走る事をやめる決断をした
また気分が向いたら走ろうと思う