歯科医師の運と実力②

第一回では世の中は実力以上に運の要素が強い事が分かった。

歯科業界でセミナーをやるくらい目立っている歯科医師のほとんどが運でその地位を得ている。

では運を見方につけるにはどのような行動をすればいいのだろうか?

今回は幸運を手にいれる方法を説明していこうと思う。

この方法は

・歯科医師としての幸運

・人生を充実させる事の幸運

など何にでも当てはめて考える事ができる。

年商2億歯医者/敗者では常にお伝えしているが、歯科医師になったからと言って歯科医師として成功しないといけない理由はないし、一生歯科医師だけをやらないといけない理由はない。

しかし開業やリニューアルして間もない歯科医師や、これから開業を視野にしれている歯科医師は「成功」を望んでいるかもしれない。

私は数字としての「成功」は何の意味もないと考えているが、借金を背負っている場合はそんな事を言ってられない事も理解できる。

まずは歯科医師としての幸運を掴む方法をお伝えし、最後に私が実践した人生の幸運を掴む方法をお伝えする。

歯科に飽きていたり、これ以上を望んでいない歯科医師は私と同じ方法をとるといいだろう。

ちなみに今回もこれらを参考文献として考察した。

参考文献

・no+e 成功は運か努力か才能か?についての考察 佐藤航陽

・YouTube 運>実力 Paranoiaパラノイア

・イグノーベル賞 運と実力の関係

・QUITTING やめる力 ジュリ・

目次

幸運の式

さっそくだが幸運とはどのように手に入れるのであろうか?

歯科医師として運を手にいてるためにどのような行動をすればいいのだろうか?

長くも短い人生において不安なく有意義に過ごすにはどのような思考になればいいのだろうか?

まず幸運の式とは以下のようになる。

幸運=行動×精査×回復

幸運を手に入れるにはまずは”行動”する事が大切だ。

頭でっかちになり何も行動を起こせない人は何も変わらない。そしてその後は行動をしっかりと”精査”する必要がある。

その行動が本当に正しいか?を考える事で行動の質をあげていく。

行動し精査した後は”回復”である。

行動には成功と失敗がつきものであり、失敗から何を学ぶか?どのように回復し次の行動に繋げていくかが大切なのだ。

順番に細かく説明していこう。

行動

これは実行した量とその質を意味する。

とても単純な事であるが、行動をしないと何も始まらない。ただその場所にとどまっているだけでは、そこには成功も失敗もない。

就職先をミスった

院長に怒られてばかりいる

スタッフが揉めている

衛生士が全くこない

歯科医師になるとこんな事は誰もが経験するが、そこから何かアクションを起こさなければ何も起こらない。

現状を変える力はあなたにしかないのだ。

世の中には天才と凡人がいるが、それらの違いを研究した結果によると、最も大きな違いは未知への好奇心だった。

歯科医院経営で成功している人達もおそらくほとんどが深く考えずに、「とりあえず行動してみる」という人が大多数だろう。

あまり細かい事を考えずにとりあえず行動する数が多い人が幸運を手にしている。

不安もあるかもしれないが、「好奇心は上手くいっているふり」をするだけでも向上する事が分かってきている。

現状を変えるには何か新しいアクションを起こす事が大切なのだ。

しかし歯科業界はなぜか「忍耐」「耐える」事に美徳を抱く傾向が強く、一つの治療を何年も継続し完成度を100%にもっていく職人気質の人が評価される風潮がある。

一つの努力を長期的にする事が成功につながるという事を否定している研究は数多くある。

例えば、世界トップレベルのアスリートは幼少期から特定のスポーツに取り組んできたのではなく、10代は複数のスポーツに取り組んでいた事が証明されている。

これは少し考えればわかる事だが

・複数のスポーツをする事でメンタルが燃え尽きにくくなる

・複数のスポーツを試す事で自分の適応を見極めやすくなる

・複数のスポーツを経験する事で様々なスキルが身に付く。

これは歯科医師にもつながる。常に同じ歯科の事ばかりを考えていると飽きてしまうし、視野が狭くなる。

色々な治療を勉強したり(私はやらないが)、経営の勉強をしたり(これはちょっとやる)、歯科以外の人達と繋がりを持つ事が大切なのである。

今の職場が合わない

この場合の行動とは「合わない原因を探し改善する」という事である。

・院長の考えと合わない

・お局と合わない

・治療方針と合わない

・福利厚生と合わない

合わない理由は数多くあるが、まずはそれらを解決するように院長や上司に相談する。解決しないならすぐに辞めた方がいい。合わない職場にいるなど人生の時間の無駄だ。

歯科衛生士求人が来ない

これは開業医にはよく聞く話であるがやはり必要なのは行動だ。

・給料を地域平均よりもあげる

・衛生士学校への挨拶

・求人票に掲載する

・臨床実習施設になる

・診療時間を短くする

・奨学金を導入してみる

立地がよくても衛生士が来ない歯科医院は行動と勢いが足りないように感じる。

ちなみに立地が悪い歯科医院は何をしても無理だ。移転した方がいい。

精査

このステージは普段している行動にスポットライトを当て、本当に必要なのか?効果がでているのか?を考えるステージである。

効果が出ていないのに毎日のルーティーン化している行動が多すぎると感じる。

・診療後は必ず練習

・休日はセミナーに行き知識を増やす

・院長は全スタッフの悩みを解決するべき

・院長は医院の事を誰よりも詳しくないといけない

これらは歯科業界では正解として語られる事が多いが、これらの行動が本当に必要なのかは人それぞれである。

成功者として登壇している人の中には人よりも量ここなし成功したと語る人もいるが、その人達はそもそもの体力が凡人とはかけ離れている場合が多い。

そういう人に限って「すべての時間を仕事にささげよう」などと無責任な事を言いがちだ。

・朝方まで飲んでいても次の日にはインプラントを何本もうてる

・診療の合間に色々な別のタスクを同時進行でこなす事ができる

・1日12時間、週6仕事の事を考えても疲弊しない

このような人達はそもそも生まれ持ったエンジンが異常なので、真似をしないようにしよう。

凡人がこのような行動をすると、独身時代は何とかなっても結婚し子育てをするようになるとパンクする。

私は浪人していたのだが、その時に一緒に浪人していた友人が

「受験は傾向と対策」

と言っていた言葉がいまでも忘れられない。

その友人は7月まで文系の大学に行っていたのだが、半年後に早稲田の理系学部に受かっていた。

仕事でもプライベートでも共通する事だが、どのように行動するか?をしっかり精査する事が大切なのだ。

・今の医院はあなたに合っているのか?

当院も含めて100%完璧な職場などない。

しかしお局がいたり院長に毎日怒られたりメンタルをすり減らしながら勤務する必要はないはずだ。

歯科衛生士、歯科医師なら日本全国どこに行っても就職先など見つかる。

・居残り練習は意味があるのか?

歯科業界には居残り練習を推奨する風潮があり、そのような医院で言われる事は

「将来差がつく」や「努力は裏切らない」であるが本当にそうなのか?

私は居残り練習などした事がないし、むしろ臨床に妥協がない先生ほど開業後に苦労している傾向がある。それはスタッフの治療や行動に満足できないからだ。

診療後も仕事の事を考え、せっかく技術を高めたのに開業後にスタッフの離職で苦労している先生達も多い。

・休日に行くそのセミナーは意味があるのか?

私は勤務医時代に行ったセミナーで今も役立っているのと言えるのは1つくらいしかない。

高い金と時間を割いたそのセミナーに行くという行動は幸運につながるのか?吟味をしよう。

医院がセミナー代を出してくれるなら行ってもいいだろう。

・治療を絞り込む

歯科医院は色々な診療メニューがあるがそれらを絞り込む事が大切だ。

インプラント、ワイヤー矯正、インビザライン、リップアート、美容点滴などをたくさん揃えてすべての患者に対応するのは医療従事者としては素晴らしい事だが、それはコスト(時間、教育、在庫)がかかりすぎる。

当院は田舎のメンテ主体の歯科医院なので、メニューを絞り込んている。リップアートや美容点滴などは当然導入していないし、インプラント、インビザライン(過去にやっていたが辞めた)も導入していない。それによりコストを抑える事ができるし、スタッフも色々な準備に振り回されない。

若手はフルマウス症例やインプラント、インビザラインなどの自費に惹かれる傾向がある。しかし自分が開業したあとに何十年もそれらを継続できるかを考えよう。

私くらいの年齢になるとほぼすべての歯科医師が口をそろえて言うセリフがある。

メンテで経営が成り立つのが一番いい

・スタッフを絞り込む

自院の思想と合わないスタッフを雇用しない。

求職者にまずはしっかりと自分の歯科医院の特性を伝えよう。就職後に意識の差異が生じると色々な時間が無駄になる。

継承時に合わないスタッフがいる場合は早めに解雇したほうがいい。長年勤務した年配スタッフは新しい院長の元で新しい思考になる事はほぼない。

・患者を絞り込む

余計な患者に労力を使わない。当院はメンテに通院してくれる患者を最も大切にしている。自費をいくら入れてもメンテに通わない患者はすぐ治療を終わるようにしている。クレームを言ってくる患者など論外だ。

最初は多くの患者を診たくなるだろうが、自分の力量を超えた患者をみてしまうと後々トラブルになりストレスがたまるので、注意が必要だ。

集患コストを抑え自分に合った患者を獲得できる場所で開業しよう。

回復

これは文字のごとく失敗から立ち直おる能力の事である。

この回復のステージは人生においてとても重要である。なぜならば人生など失敗や苦悩ばかりだからだ。

かく言う私も歯科医院経営に関しては多くの失敗をしてきた。

・マニュアルを作ったが全然活用できず、今は廃止した

・スタッフ面談をやっていたがそこから適切な問題を抽出する事ができずに、ただの愚痴を聞く時間になっていたため廃止した。

・開業時は借金がある不安から難易度の高い矯正症例を契約していまい、最終的に返金する羽目になった。

・継承時の父親主導でチーフ達を任命したため、私と感覚が違う人が上のポジションについてしまっていた。

・すべてのスタッフを満足する事に注力しすぎてしまい、やる事がブレブレだった。

・歯科医師として成功する事を意識するあまりメンタル不調になり休職せざるおえなかった。

主なものでもこれだけの失敗をあげる事ができる。成功したこともあるがそれ以上に失敗の事のほうが多いと感じている。

ここで”回復”に最も重要な思考は「失敗とは新しく得られたデータの一つでしかない」と考える事だ。 

失敗した時には”ゲーム”を思い出してほしい。

強いボスに勝てない。道に迷ってしまった。

それらはゲームでは当然で何度もコンティニューを繰り返す事が当たり前である。

現実の世界もゲームと全く同じなのだ。

大切なことは失敗を当然の事として受け入れ、そこから立ち直り”回復”する事である。

多くの人が失敗を自己の無能と認識してしまい、それゆえに失敗をすると自分という人間さえも否定する思考に陥ってしまっている。

失敗とは自分がおこなった行動のエラーを示す情報でしかない。

成功した時に有頂天になりすぎず、失敗した時に悲観的になりすぎない。

全ては自分の中に蓄積されるただのデータでしかないのだ。

前回お話したようにセミナーを開くような院長はカッコ悪い自分の失敗を語ろうとしないし、カッコいいストーリーをでっち上げている。若手歯科医師はそこに騙されないようにしよう。

カッコよく見えている人ほど多くの失敗をしているものだ。

さらに失敗の中には将来の改善に役立つとても重要な情報が含まれている事も多い。

ちなみに意識高い系が良く使う「失敗を楽しむ」「進んで失敗をする」という事ではない。失敗など誰でも嫌に決まっている。あくまで実験という認識でいる事がベストだ。

これらの式をもとに人生の幸運を手に入れる方法を各自考えていただきたい。

失敗とは一つのデータでしかない

別のゲームを始める

歯科医師としての成功をどこまでも突き詰める事は修羅の道である。

上には上が存在しており常に競争をしていたのでは疲弊してしまうからだ。

診療後の合間にスタッフと面談し、辞めないように試行錯誤する。

休日はセミナーや就活フェスに参加し常に求人を意識する。

近くに歯科医院が開業したら患者が減る事に怯えたり、スタッフ定着のため周りの歯科医院の給料をリサーチする。

さらに最近では人件費や家賃の高騰、上がらない保険点数などで、経営が難しくなり廃院している歯科医院もかなり増えている。

歯科医師として成功を目指したり、一生歯科医師として稼ぐ事に執着していると苦しくなる事もあるだろう。

歯科業界の歯科医師や歯科衛生士不足などを解決しようと熱く行動をしている先生が多いが、私は歯科業界に固執していないので、どこか一歩引いた目で見る事ができているように感じる。

人口減少はアメリカを除くほぼすべての先進国の課題であり、止める事などできない時代の流れだと思う。

それこそその時代に生まれたという運である。

その中で歯科に固執せず別のゲーム始める事で人生の幸運を掴む事も大切だろう。

若手は早めに投資をはじめよう。

当院スタッフにも投資を推奨しており、企業型確定拠出年金を導入したり、証券口座開設もサポートしている。

私は研修医から投資をはじめて今では投資の含み益だけで1億を超えそうだ。(利確はしてないので暴落する事もあり得るが)

10代から投資をしていたらもっと資産形成をできていたと後悔をしている。

歯科医師以外の方法で資産形成をする

自分だけの幸運を掴む

これらの幸運をつかむ方法は何も仕事にのみ当てはまるわけではない。

私はこの方法で「人生を充実させる」という事を選択した。

まずは自分の人生において大切にしたい事を考え、趣味を充実させることで歯科関係者以外の仲間を作る選択をした。

歯科医師は学生時代の友人や歯科医師会などの繋がりが強くなりがちで、歯科関係者としかコミュニケーションをとっていない人が大多数のように感じる。

それが好きな先生はいいのだが、私の場合はどこに行っても口腔内の話ばかりなのは飽きてくる。

今では趣味で繋がった友人達とバーベキューをしたりカラオケに行ったりととても充実できているし、それらのコミュニティがあるからこそ歯科医師以外の職業もあるのだなと俯瞰する事もできるようになった。

そして歯科業界を俯瞰で見る事ができるようになったおかげで、歯科医師だからといって臨床に興味を持たなくてもある程度の成功を手に入れる事ができると認識できたし、臨床に興味がないからこその情報をこの年商2億歯医者/敗者で発信する事ができている。

私は数年前に挫折した時から年商2億歯医者/敗者サイトを立ち上げた。歯科医師として周りからの承認欲求を手に入れるために休日にセミナーにいき、無駄な時間を過ごしたと感じていた。

若手歯科医師や院長そして歯科衛生士などが自分と同じ失敗をしないように情報発信をしているが、このサイトを立ち上げて色々な人に出会う事ができた。

そういう人達との出会いがこのサイトを継続する原動力になっている。

承継で歯科業界の人に絶望し嫌気がさしたが、このサイト経由で色々な歯科業界の人に出会いそれが原動力になっているとはなんとも皮肉な話だ。

歯科医師という仕事にやる気がある若手歯科医師に伝えたい事は

「価値観など一夜で変化する」という事だ。

昨日まで正解と思っていた事が今日は不正解になる事など往々にしてある。

歯科医師になると多くが技術向上に目を向けるが、30代になりその思考を維持している歯科医師はほぼいない。

それは結婚、出産、子育て、介護、経営などを経験し、ある程度の金が必要だという事に気が付くからである。

仕事を全力でやり、家族円満で、趣味も充実しているという人はこの世に存在しない。すべてが等価交換であり1日24時間という制約の中では誰もが平等なのだ。

今回のブログを読み歯科医師としての幸運をある程度の掴んだら、即座に方向転換し“人生の幸運を掴むステージ”に移行する事をおススメする。

考察

今回は2回に分け”運”について考察した。

世の中のほとんどは”運”であるが、人間は何か明確なものを信じたいという思考があり、成功者は努力した結果その地位築いたのだと勘違いしてしまう人が多い。

人生とは運であるという事をしっかりと認識し、成功者と自分を比較する事なく自分自身の人生を歩んでいただきたいと考えている。

次回は「スタッフが辞めにくい歯科医院」について考察する。

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