院長が幸福度をあげる方法②~実践編~

「当たり前の日常に感謝する事」以外で幸福度をあげる事で大切な事は「収入と自由な時間のバランス」である。

勤務医においては収入は少ないが時間はあり、開業医では収入はあるが時間がまったくない。

収入と時間はシーソーのような関係であり、両立する事はとても難しいのである。

開業医で収入も時間もあるという状態をつくる事ができるのは”投資”のみである。

治療を頑張り収入をあげるという人もいるが、歯科医師をはじめとする士業(医師、弁護士、税理士など)は資格をとる事で時給は高くなるが、”自分”という人間がいてはじめて収入が手に入る属人的なビジネスである。

つまり自分が働かないと収入は0になってしまうのだ。

インプラントや矯正をどんなにやろうが時給が高くなるだけであり、事故で指1本失っただけでその時給は大幅にダウンしてしまう。

もちろん学会などで有名になり多くの歯科医師を抱えれば院長に何かあった時のリスクは下げる事ができるが、そこまでいく事ができる歯科医師はほんの一握りだ。

仮に歯科医師から経営者になったとしても、スタッフ数が増えれば増えるほど経営者が管理しないといけない業務は増える。そういう意味からも“投資家”が収入と時間の両立ができる最も優れた職業なのだ。

目次

小金持ちになった歯科医師へ

歯科医師という職業は保険制度と国家資格に守られており、新規参入の少ない非常に楽な業界なので、すぐに小金持ちになる事ができる。

私がお金をもったという自覚になったのは月収50~60万になったあたりだった。月給50万は私が勤務医だった10年前は5年くらいかかったが、今は1~2年で到達できるだろう。

当時は結婚もしておらずその金額があれば十分購買意欲を満たす事ができた。

そして当時の私も多くの小金持ち歯科医師と同じようにいままで変えなかった服や車を買っていたのだが、当時はいかにそれが愚かな考えかをまったく理解できていなかった。

おそらくほとんどの歯科医師が当時の私と同じ行動に出ていると思うがそれは不正解であり、その理由は“負債”を買ってしまっているためだ。

負債=マイナスの資産 

小金持ちになりまずやるべき事は“資産”を買う事なのだ。

資産=将来収益をもたらす可能性のあるもの

せっかく小金持ちになったのに負債ばかりを買っていたら、収入と時間のバランスをいつまでも改善する事ができない。

見栄や承認欲求で車や服や時計(高騰しているのはここ数年で将来は価格が下がる可能性が高い)を先に買ってしまうと毎月のローンに苦しみ、ローンを払い終わり自分の物になる時には価値が大幅に下がっている。

先に負債を買ってしまうと「ローンを返すために一生懸命働く」という負のサイクルに陥ってしまう事になり、毎年収入は上がっても同時に支出(贅沢品)も増えるので、なぜか月末にはお金がないという状況に陥ってしまう。

小金持ちになったらまずは”資産”を買い、そこから収益が得られた時に車や服などを買うようにしなければならない。

貧乏な人のお金の流れ

小金持ち歯科医師のお金の流れ

金持ちの時間持ち歯科医師お金の流れ

これらの図は有名な”金持ち父さん貧乏父さん”から引用したものである。

金持ちは負債を買わずに資産を買う事からはじめる。そして資産から得られる収入で車や時計などの欲しいものを購入するのである。

資産を買う事はとても簡単な事だ。米国債券やリートであれば年5%で運用する事はさほど難しくない。

資産形成の鉄則は「ゆっくり金持ちになる事」であり、Fxや株で「早く金持ち」になろうとするから多くの人が失敗するのだ。

投資の世界で言う”ゆっくり”とは1年や2年ではなく、10年や20年の事をさす。

世界一の投資家であるウォーレン・バフェットでさえも資産845億ドルのうちの815億ドルは60代後半以降に増えたのだ。

ゆっくりお金持ちになる

アリとキリギリス

アリとキリギリスはおそらくほとんどの人が知っているであろう童話だ。

この物語からも私達は様々な教訓を得る事ができる。

登場人物

アリたち:夏の間から冬に備えて食料を集める働き者。

キリギリス:歌とバイオリンに興じている享楽主義者。

あらすじ

ある暑い夏の日、キリギリスは歌いながら得意のバイオリンを奏で、夏を謳歌していました。そこに食べ物を懸命に運ぶアリの行列が通りかかります。「暑い中、なぜ働いているんだろう」と思ったキリギリスはアリたちに尋ねました。すると、アリたちは「食料がなくなってしまう冬に備えて、食料を備蓄している」といいます。キリギリスにはそんなアリたちが信じられません。

「まだ夏なのに冬の準備なんて!」

 やがて秋が来てもキリギリスは楽しくバイオリンを弾いて歌い続け、対照にアリたちは冬の準備に余念がありません。そして、いよいよ冬が到来しました。

 食べ物が取れなくなり、夏、秋と遊び呆けていたキリギリスにはもちろん備蓄食料なんてありません。空腹と寒さで困窮しているキリギリスは、冬であるにもかかわらず暖かそうに暮らしている家を見つけます。その家をのぞき込み見たものは、キリギリスが音楽に興じている間も働き続けたアリたちの姿でした。やせ細り、餓死寸前のキリギリスは、アリたちに食べ物を分けてほしいと懇願します。しかし「夏に歌っていたなら、冬は踊ったらどうですか?」とアリたちは取り合ってくれません。

 アリに見放されたキリギリスは、空腹を抱えたまま凍死してしまいました。

小さいころから慣れ親しんだ童話でよく聞かされたのは、

「いずれ困難な時がくるのでアリのように毎日しっかりと働き備える事」が大切であるという事だった。

ここで疑問が生まれる。

「果たしてキリギリスよりアリの方が幸せなのか?」

アリは毎日しっかりと働く事で冬を乗り切れたが、本当に自分のやりたい事を我慢していたのではないか?やりたい事を我慢して冬を越えてただ生きる事は本当に幸せなのか?

キリギリスは冬を乗り越えられなかったが、自分がやりたい事だけをして死んだのならば幸せだったのではないか?

この事は歯科にも当てはまる。多くの院長が冬に備えてセミナーに参加したりして診療時間外に働いている。しかし非常にやっかいなことは、歯科の勉強に興味がないと言うと、なぜか白い目で見られるため(私は歯科の勉強に全く興味がない)多くの歯科医師は勉強が好きだと思い込んでしまっている事だ。

「歯科が楽しい」と言っている歯科医師のうち一定数は呼吸をするように歯科の事を考える事ができる変態もおりそういう人はキリギリスなので問題ないが、多くは「仕事が楽しい」と錯覚し日々苦労ばかりしているアリである。

過去の私もそうであったが、「仕事が楽しい」のではなく「仕事で成果が出て周りから褒められるから楽しい」のだ。

その考えでは主観は他人にある。他人から自分がどのように見えるかを考えて行動しており、本当に「仕事が楽しい」と感じる人は周りからの評価など気にせずただ黙々と治療や勉強をしているだけである。

仕事など嫌いなのにスタッフや患者獲得のためにアリのように働き、その結果困難を乗り越えたとしてもまたいずれ冬はくる。そんな生活をするよりもキリギリスのように好きな事をやり冬が来たらその時に考えるほうが幸せなのではないかと思う。

「時間がない」が口癖の院長へ

「院長」と「時間がない」はセットの言葉である。みんな常に忙しいや時間がないと言っている。

時間がないからこそ時短を図るために様々な便利グッズやアプリに頼り効率化するが、そこでできた隙間時間にさえも仕事がどんどん入ってきてしまう。

本当に必要なのは時短ではなく「仕事を断る」「情報フィルタリング」なのだ。

・仕事を断る

時間は作り出すものであるが、さまざまな事を効率化して時間を作り出すのではなく、仕事を断るのだ。

仕事の依頼がきたら「この仕事をやりとげるための時間は今自分にあるのか?」を常に自問自答する癖をつける。

具体的には

・院長や先輩から誘われているだけのセミナー

・歯科医師会からの業務

・スタッフには任せられないと思い込んでいる仕事 

・「勉強のため」という曖昧な理由で行っている仕事 など

私も勤務医時代や開業したばかりの頃は「勉強になる」という理由や、「院長ならまずは知らないといけない」という謎の考えで数多くの事を自分でこなしていた。

具体的には

・レントゲン撮影を自分が覚えてスタッフに指導

・スタッフシフト管理

・全員とスタッフ面談をして問題を把握

・購入する備品の確認と決済

・院内配布物の作成

・新しい商品をまずは自分で体験してみる

当然診療時間以外に行っており、その結果常タイムマネジメントをしようと朝早く起きたり、色々なアプリを使いいかに効率よく時間を管理するかを意識していた。

しかしその考えは真逆なのだ。

上手く仕事をこなそうとすればするほど、仕事はどんどんと増えていき時間がなくなりイライラするようになる。皮肉な事に能力が高く上手く仕事をこなせる人にだけどんどん仕事が増えていくのだ。

やるべき仕事はより少なくし質をあげる事であり、つまり自分でやらなくてもいい仕事はすべて断る事が大切なのだ。

具体的には

・レントゲン撮影を自分が覚えてスタッフに指導 → メーカーを呼び直接指導してもらう

・スタッフシフト管理 → スタッフに任せる

・全員とスタッフ面談をして問題を把握 → 幹部スタッフのみ面談

・購入する備品の確認と決済 → 決裁権を与える

・院内配布物の作成 → 費用は掛かるが外注する

・新しい商品をまずは自分で体験してみる → 担当スタッフに一任する

私の今の口癖は「わからない」「〇〇に聞いて」であり、それを繰り返していくと院長なしでも物事が回りだす。スタッフからすると私は何も知らないと思われているはずだ。

そして私は「年商2億歯医者/敗者」のために本を読みブログを書くことに時間を割けるのだ。

この「年商2億歯医者/敗者」の活動は歯科医院の真実を伝える事であり趣味に近い。

・情報のフィルタリングする

開業医は勤務医が目につかなかった雑音が目に付くようになる。昔の私もそうであったが、借金のある経営への不安から色々な事に手を出しすぎてしまっていた。

それは仕方のない事だ。何億もの借金を背負うとどうしても何かにすがり安心したくなるし、これをやれば大丈夫だと思いたくなるのだ。

「年商1億を目指す方法」

「この方法をやれば求人に困らない」

「勝ち組歯医者になるコツ」

「スタートダッシュ経営」

このような類のセミナーの多くの情報が雑音であり、自分で本当に必要な情報を吟味しフィルタリングしなくてはならない。

「年商1億を目指す方法」→年商1億を目指して何をしたいのか?そもそも目指す必要はあるのか?

「この方法をやれば求人に困らない」→求人をする前にやるべき事はないのか?

「勝ち組歯医者になるコツ」→あなたの勝ち組とは何か?

「スタートダッシュ経営」→スタートダッシュする事に意味はあるのか?

新規開業後1年で年商1億に到達できると”優秀”というような意味不明な指標があるがそれは全く違う。

最初は売り上げだけを求めずに患者との信頼関係を築く事が一番大切である。

年商1億に到達するまでの期間はあまり意識しなくていい。そもそも勤務医を雇用しない田舎の医院のMax年商は1億程度であるので、衛生士求人さえできれば誰でもいずれ到達できる。

・働きすぎない

院長にとって働きすぎる事はとても簡単な事で、働きすぎない選択をする事が難しい。

時間がないという状況は「ある程度仕事ができる院長」が陥りやすい。

院長が経営者として結果がでると「頼れる人」という評判を得てしまい、どんどん仕事が舞い込む。さらに自分でも仕事ができると認識してしまうと、スタッフに任せる事ができなくなりやる事が増えすぎて時間とエネルギーが拡散されてしまう。

忙しくなりすぎた時に意識してほしい事は死ぬときに最も後悔するのは 「もっと自分に正直に生きればよかった」という事である。もっと仕事をすればよかったという後悔はない。

正直にいきるとは単にわがままに生きるという事ではなく、不要な事を切り捨て本当に大切な事に注力するという事だ。

不要な事や嫌な事を切りすれる事などとても簡単だと思うかもしれないが、自分に正直に生きるために必要な事は成功するかもしれないチャンスをも断る勇気を持つ事である。

では、どのような基準で選択すればいいのか?私がその指標にしているのは「心の底からワクワクしやりたいと思っているか」である。

このように情報フィルタリングと断る事をすれば自然と人生に余白が生まれる。その余白ができてこそ自分が人生において後悔しないようにする思考が生まれるのだ。

成功するかもしれないチャンスも断る勇気を持つ

無駄な事はしない

過去の私のように休日にセミナーに参加しそれをSNSにアップする事で、忙しい事が有能の印だと勘違いしている院長が大勢いる。

開業すると様々な困難が降りかかる。

「最近患者が来ない」

「スタッフが辞めたいと言っている」

「売り上げがどんどん下がっている」

これらの困難に出会った時、院長自身が忙しく仕事量を増やして根性で乗り切ろうとしていないだろうか。

仕事ができる人が悩むのは「全部やらなくてはいけない」という思考から抜け出せないため、仕事量でカバーしようとする事だ。

週6以上働きたくさんの仕事をこなして売り上げが上がったと喜んでいる院長がいるが、そのような生活はあと何年継続できるだろうか?

私たちは小さいころから「努力の重要さ」を教えられすぎている。

コツコツ努力すればできるようになるなどと言われているが、この世の多くは運による部分が大きい。

無駄な事をしてしまう人は理由がある。それは人から悪く思われるという事が嫌いなのだ。

「スタッフからの要望」

「業者からのお願い」

「患者からの希望」

「歯科医師会からの命令」

「勉強会からの誘い」

これらを断った時に相手を失望させてしまったり、関係が壊れるんじゃないかという気持ちが判断を鈍らせる。

本当は断って数分嫌な気持ちになる方が、要求を呑んでしまい何か月も嫌な気持ちになるよりマシなのだ。

「無駄な事はしない」という思考に通じる思考として「失敗を受け入れる」という事がある。

人間は誰でもかっこよくいたいし、ましてやある程度年商がある院長はその思考が強い。

しかし失敗など誰にでもあり、これを読んでいる院長も多くの失敗をしているはずだ。

「患者からクレームがきた」

「スタッフが辞めてしまった」

「スタッフは増えたが売り上げが上がらない」

「買った機器をほとんど使えていない」

「セミナーに行ってもまったく導入できない」

大切なのは失敗を受け入れる事だ。

自分のした失敗を受け入れて認める事ではじめて失敗は過去のものになる。

失敗を認める事は恥ずかしい事ではない。失敗を認めるという事は、自分が昔よりも賢くなったのだ。

人は失敗からしか学べない。

かつての私もそうだった、継承しリニューアルをして患者が爆発的に増えスタッフも数年で3倍の30人近くまで雇用した。

まさに上り調子だったし自分が優秀な経営者になったと勘違いしていた。

自分ならどんな問題も解決できるしその能力があると愚かな勘違いをしてしまっていたのだ。

幸福度が低かった時期の習慣

・自分の能力を過信し朝5時に起きて事務作業をしていた。

・医院で起きる揉め事の仲裁

・週末はセミナーに必ず参加

・診療後はスタディグループに参加

・休日も歯科医院に行き仕事をする

・いずれ役立つかもと色々な仕事を引き受けていた

幸福度が高くなった集患

・睡眠はしっかりとり、事務はスタッフに任せる

・人が集まれば揉め事は起こると理解し静観する。

・去る者は追わずの精神

・週末はセミナーをいれない。必要なら勤務時間内でアポをきりzoomにする

・誘われただけのスタディグループには参加しない。

・休日は一切仕事の事を考えない。

・本当に必要な仕事以外は断る。

まとめ

今回は院長の実践編として具体的な解決方法を説明した。

これらの方法の目的は院長の人生に”余白”をつくる事であり、余白があるからこそ人生を考え最適な答えをだす事ができる。

勤務医は忙しくしている院長がカッコよく見える時期もあるかもしれないが、院長にとって自分を忙しくする事などとても簡単である。

忙しくしていれば何も考えずに日々を満足する事ができる。「今日も忙しく頑張った」という意味のない積み重ねで満足する事ができるのだ。

無駄な事はせず忙しくしないという徹底した姿勢が院長を幸福にするだろう。

幸福する順番

自分→家族→スタッフ→患者

次回は「歯科医師不足問題」について記事を書く。田舎で開業している私が聞いている話ではそもそも歯科医師過剰な時期は経験していない開業医が多いイメージがある。

HPもないような田舎の開業医が子ども2人を私立歯学部に行かせている。

そのあたりを統計や歴史などをもとに解説していこうと思う。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

目次